気候の危機に取り組む

 

私たちは、気候変動を食い止められる最後の世代かもしれません。

 

これまでにないスピードで進行する気候変動。その先にあるのは、私たちの想像を絶する最悪のシナリオです。残念ながら、時間は待ってくれません。地球の生態系システムへの致命的な被害を食い止めるために、人類は二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出をなくすのと同時に、大気中の過剰な炭素も取り除く必要があります。 そのために、クリーンで再生可能なエネルギーへの緊急かつ大規模な移行が必要です。 しかし、世界が化石燃料の使用を完全にやめたとしても、炭素を吸収し貯蔵する機能を持つ森林など、自然生態系の破壊を止めなければ、最悪のシナリオを回避することはできません。

いま、私たちにできることは、限られた時間・資金・人的資源を最大限効率的に活用することです。

私たちは、気候変動を止めるために行動できる最後の世代なのです。

 

何が、地球で起きているの?

 

今、地球はかつてないほど非常事態にあります。

人間の活動によって二酸化炭素の大気中濃度が高くなり、地球の平均気温が猛スピードで上昇しています。

世界気象機関(WMO)によると、近年の大気中の二酸化炭素濃度は、過去300万年間で最も高く、
2020年までの6年間は、観測史上で地球の平均気温が最も高い6年間となりました。(*1)

この気候変動の影響で、あらゆる問題が起きています。

例えば、動植物の絶滅。

2019年のIPBESの報告書によると、約100万種もの動植物が絶滅の危機に瀕していることが報告されています。

世界の平均気温が産業革命以前から1.5℃上昇しまうと、海を美しく彩るサンゴ礁は、2030年までに70~90%が消失するといわれています。(*2)

さらに、海面上昇も大きな問題です。

海面は、1901~90年に比べ2.5倍の速さで上昇しており、2100年までに最大1.1 mも上昇するといわれています。(*3)

海面上昇は、高潮や浸水被害だけでなく、海水が地下水に侵入してしまうと、飲用水や農業用水など真水の確保にも影響を及ぼします。

なかでも高いリスクにさらされているのは、太平洋・インド洋・大西洋上にある島嶼国。これらの島嶼国は海面上昇の影響に非常に脆弱であり、国家の存亡の危機にまで直面しています。

ほかにも、気候変動の影響で、洪水や台風、干ばつなどの自然災害の増加、農業パターンの変化、水ストレスの増大など、深刻な問題が起こり続けているのです。


なぜ、こんな地球になっているの?

この非常事態の原因は、人間の活動にあります。
では、どんな活動が地球に負担を与えているのでしょうか。

  • 化石燃料の燃焼
    石油や石炭などの化石燃料の燃焼が、人間の活動による二酸化炭素の最大の排出源です。化石燃料は、産業革命から人間がもっとも使ってきたエネルギー資源で、今なおエネルギー源全体のほとんどを占めています。
  • 森林の減少
    熱帯の森林には、大量の二酸化炭素が蓄えられています。しかし、森林伐採や、放牧地や農地にする森の開拓によって、森林に蓄えられていた二酸化炭素が一気に大気中に放出されてしまいます。人間の活動による二酸化炭素の排出量のうち11%が、この森林の減少によるものだといわれています。(*4)

 

世界の現状

10
年間
科学者たちは、温室効果ガスの排出を10年以内に大幅に激減させることができなければ、人類は壊滅的な結果に苦しむことになる、と警告しています。
> 30%
世界的な気候対策
原生林、湿地、マングローブ、泥炭地などの自然生態系を保護し、再生し、持続的に管理することは、最悪の気候シナリオを回避するために必要な世界的行動の少なくとも30%以下で済みます。
たった3%
世界的な気候対策のうち
原生林やマングローブ、泥炭地の保護、回復、持続可能な管理などの、費用対効果の高い気候ソリューションの保全に使われている資金は、全世界の気候資金の3%にも満たしません。 


どうしたら地球を守れるの?

© CI /photo by Haroldo Castro
地球を守るためには、「2050年までに、産業革命以前の平均気温からの上昇を1.5℃に抑え込む」必要があります。(*5)
この「1.5℃目標」を達成できれば、最悪のシナリオを回避できるかもしれません。
世界はいま、この数値を念頭にしながら気候対策に取り組んでいます。

しかしながら、この目標は非常に厳しい数字です。

2020年時点で、産業革命以前の平均気温からの気温上昇はすでに1.2℃上昇しました。
1.5℃まで、残り0.3℃です。(*6)

さらに二酸化炭素の排出量を2030年までに世界全体で50%削減、2050年までに実質ゼロにしなくては、目標達成は難しいのが現状です。(*5)


1.5℃目標」を達成するには、どうすればいいの?

あまりに厳しい「1.5℃目標」。

しかし、私たちには、大掛かりな技術開発を待たずとも実行できるは解決策があります。

それは、「自然の力」を活用することです。

まず、1つ目に実行するべき対策は「燃料の転換」です。化石燃料から、太陽光や風力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーに変えることで、二酸化炭素の排出量を大幅に抑えることができます。

エネルギー利用からの二酸化炭素の排出を抑制することは急務であるものの、一方で、気候変動の要因として「森林減少」があることも忘れてはなりません。

そこで注目すべき2つ目の解決策は、「自然の力の活用」です。

具体的には、森林、マングローブ、湿地、泥炭地などの自然生態系を保全、管理、再生します。

最悪のシナリオを回避するために減らすべき二酸化炭素のうち、30%が自然の力によって削減できると言われています。(*4)


自然の力で、人と地球を守る

自然がもたらす長期的な恩恵よりも、短期的な経済的便益に重きがおかれ、自然は搾取され続けてきました。

今こそ、私たちは自然の価値を見直さなくてはなりません。

そこでコンサベーション・インターナショナルは、科学的知見に基づく知見と創造的なアイデアを組み合わせることで、企業や政府と協業しながら、森林の保全と再生を進め、地域および国の持続可能な社会作りを支援しています。

私たちのプロジェクトは、現地コミュニティとのパートナーシップを活動の柱としており、それぞれの地域が抱える根本的な問題解決のための取り組みです。


REDD+(レッドプラス)

REDD+は、途上国の森を守り、育て、健全に管理することで、森からの二酸化炭素排出を抑制し、さらには吸収を増強するための取り組みです。
具体的には、「途上国が森林を開拓するよりも、森林を守った方が、経済的に高い利益を生むことができる仕組み」を、国際社会が途上国に提供します。この取り組みは、気候変動の緩和だけでなく、地域の人々の生活にも良い影響をもたらすことができます。

もっと詳しく

 

「自然を活用した気候変動対策(Nature climate solutions :NCS)」は、コンサベーション・インターナショナルの活動の中心です。NCSは、大気中から炭素を吸収し、貯蔵する能力を維持しながら、生態系の利用また管理を維持そして再生および改善するための行動です。

自然生態系は、気候危機を解決するために必要な方法の少なくとも30%を提供する可能性があります。そして同時に、淡水をろ過し、きれいな空気を提供するなどの、他の気候変動アプローチでは提供されない、数多くの追加的便益も提供してくれます。

 

 

 

プラネタリー ゴール

2030年までに達成すべきこと-

科学者たちは、目標を達成するために、高炭素なエコシステムである自然の破壊を防ぎ、年間5ギガトンにおよぶ二酸化炭素の排出を回避すること、2030年までに地球上で”自然の炭素吸収源”として機能するランドスケープの再生と、持続可能な管理を通じ、年間5ギガトン追加的二酸化炭素の除去が必要であることを、明らかにしています。

 

 

 

私たちの戦略は、自然生態系が破壊されるよりも、生きていることに価値があることを証明することに、活動の焦点を当てています。森林破壊率は、近年上昇しており、短期的な経済的利益が森林の長期的な価値を上回ってしまっています。 CIは、革新、コラボレーション、先住民や地域コミュニティとの提携を通じて、採掘型経済を再生型経済に置き換えることを目的としています。

コンサベーション・インターナショナルは:

  • 企業や政府と協力して、特に最大の破壊要因の一つである、農業の拡大に取り組むことにより、森林破壊を最小限に抑えます。
  • 一度失われてしまうと代替が困難な生態系、マングローブ、熱帯泥炭地、原生林などの高炭素生態系を特定して、マッピングします。
  • 国連が推奨する、自然保護を元にした気候変動の対策の一つ、REDD +(森林減少と森林劣化由来の排出量の削減)などのイニシアチブに、公的および民間の投資を導くことにより、慈善的な資金を最大限活用します。
  • 熱帯林への投資収益率を高め、政府や個人投資家にとってより魅力的な投資先にする方法を開発します。
  • 地元や先住民のコミュニティを支援して、彼らの土地の森林を保護します。
  • 国内および国際的な気候行動において、気候目標を達成するための自然の役割を主流化し、最大化します。

 

現地プロジェクト

Conservation International is hard at work

© Charlie Shoemaker
ケニア、チュルヒルズ

コンサベーション・インターナショナルは、ケニアのチュルヒルズにある、数万ヘクタールの草地の再生に取り組んでいます。プロジェクトの実施で、野生生物たちは保護され、マサイ族の生活も支援されています。また、大気中からは炭素が除去されます。 この費用対効果の高いアプローチをより拡大することで、最大9億ヘクタール(22億エーカー)におよる荒廃した低木と草地を自然のサバンナに復元すれば、人々と野生生物に利益をもたらし、毎年数十億トンの二酸化炭素を隔離できる可能性を秘めています。
© Thomas Muller
ペルー、アルトマヨ

保護地域であるにもかかわらず、ペルーのアルトマヨ保護林(ニューヨーク市の2倍の大きさを誇るアマゾンの熱帯雨林地帯)は、農業と違法伐採によって破壊され続け、国内で最も高い森林破壊率をもつ地域です。 コンサベーション・インターナショナルは、地元の農家に森林伐採の代替となる経済的手段を提供するだけでなく、農業の訓練や改良された調理用ストーブ、教材など、複数の便益を提供することで、地域の森林伐採を防いでいます。 地元コミュニティと結ぶこうした保全契約は、森林破壊を食い止め、持続可能な開発を支援するための重要なツールであるカーボンクレジットを通じて、活動資金を調達しています。
© Shutterstock
コロンビア、シスパタ

コロンビアのカリブ海沿岸の北端に沿って、コンサベーション・インターナショナルは、9,600ヘクタールにおよぶマングローブ林の喪失を食い止め、さらに1,800ヘクタールの範囲のマングローブ林を積極的に回復しています。 マングローブは、海面上昇や激しい嵐などの気候変動の壊滅的な影響から沿岸地域社会を保護しながら、地球上の他のどの生態系よりも、単位面積あたりの炭素を多く貯蔵する生態系です。

*1)世界気象機関”2020 on track to be one of three warmest years on record”

*2)政府間パネル” IPCC Special Report on Global Warming of 1.5 ºC”

*3)政府間パネル” Special Report on the Ocean and Cryosphere in a Changing Climate”

*4)Bronson W. Griscom”Natural climate solutions”

*5)政府間パネル”Global Warming of 1.5℃ Presentation to the wrap-up of the Talanoa Dialogue preparatory phase”

*6)世界気象機関” State of the Global Climate 2020”

 

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私たちと共に、気候変動問題の解決に取り組みませんか?

コンサベーション・インターナショナルは、気候変動を食い止めるために、世界各地でプロジェクトを実施しています。

私たちのプロジェクトに賛同してくださる方、もっと知りたい方は以下よりお気軽にご相談ください。

私たちは、気候変動がこれ以上進行しないように行動できる最後の世代です。

地球のために、私たちの未来のために、立ち上がりましょう。

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