【現地からの最新情報】
森林再生地のモニタリング、グリーン・ウォール内の動物観測ほか
森林保全のさらなる普及と拡大に向けて
グヌン・グデ・パングランゴ国立公園とグヌン・ハリムン・サラク国立公園は、インドネシア・ジャワ島西部に位置する、合計約13万ヘクタールの国立公園です。ジャワ島に残された貴重な熱帯林が一帯を覆っており、IUCNレッドリストで絶滅危惧種に指定されているジャワギボン、ジャワクマタカ、ジャワヒョウといった、この地域でしか見られない動物たちの最後の砦となっています。さらに、都市を含む周辺住民にとっては、雨季には洪水を防ぎ、乾季には水を供給する、天然の巨大な貯水池としての役割も果たしています。
過去数十年の間に、ジャワ島の多くの森林は、農地への転換や生活のための伐採により失われてきました。グヌン・グデ・パングランゴ国立公園とグヌン・ハリムン・サラク国立公園の緩衝地帯も荒廃が著しく、1万ヘクタールが森林再生を必要としています。2008年にダイキン工業の支援で始ったグリーン・ウォール・プロジェクトは、将来にわたって森林の恵みを人びとに届けるための取り組みです。このプロジェクトを通じて、コミュニティ参加型の森林再生・保全のモデルが確立され、広く展開できる段階にまで達しました。
森林は、災害の防止や水の安定供給、エコツーリズムや果樹による収入創出など、地域の人びとに大きな恵みをもたらします。特に、気候変動による豪雨の増加、乾季の長期化、そして農作物からの収入の不安定化が目に見える影響として現れている今、森林を守り回復させる取組みは、気候変動への重要な適応策となります。また、巨大な炭素貯留庫である森林の減少や劣化を防ぐことは、地球規模の最重要課題である気候変動を軽減し、持続可能なレベルに抑えるためにも不可欠です。
森林が抱える問題は多面的です。グリーン・ウォール・プロジェクトでは、地域、政府、NGO、企業が力をあわせ、地域と地球の明るい未来に向かって一歩一歩前進しています。
活動
森林再生
コミュニティと国立公園スタッフが協力し、自生種や果樹を用いて荒廃地での森林再生を進めています。これまでに300ヘクタールに12万本の樹木が植えられ、定期的な管理を続けた結果、多くの木々が大きく育ち、野生動物も戻ってきています。
生活改善と代替生計手段
水源地にありながら水道が整備されていなかった村には簡易水道を設置するなど、森の恵みを活かして生活の改善を図っています。また、淡水魚養殖や農業の技術支援、農家組合向けのトレーニングを通じて、収入の向上と安定化を目指しています。
取り組みの拡大に向けて
グリーン・ウォールの取り組みは、成功モデルとして政府、大学、国際機関に認知されるようになりました。モデルの活用を広げるため、積極的に研修を受け入れています。また、取り組みをさらに展開していくには、企業とのパートナーシップ拡大が不可欠であり、さまざまな機会で紹介を行っています。
◆本プロジェクトはダイキン工業株式会社の支援を受けています。 ダイキン工業とのパートナーシップについてはこちら
<関連リンク>
現地からのお便り
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ビデオ
インドネシアの森林再生プロジェクト紹介ビデオ
女優中嶋朋子さんがナレーションを担当し、共立女子大学の生徒の皆さんと作るCIプロジェクト紹介ビデオシリーズ、インドネシア編。1998年よりインドネシア林業省および現地NGOとの協働で、ジャワ島に残された貴重な熱帯林を回復し、再生させるグリーン・ウォール・プロジェクト。近年は、自然環境管理、環境教育、エコツーリズムの面で先駆的な国立公園として注目を集めており、年間約2000人が訪れています。
インドネシアのジャワ島西部におけるランドスケープ・プロジェクト、「グリーン・ウォール・プロジェクト」は、ジャカルタに住む人々や森にすむ野生生物を守るため、森林破壊を進ませないよう、原生の森の周りに植林し、”緑の壁”を作るプロジェクトです。本プロジェクトはダイキン工業株式会社の支援を受けています。 プロジェクトについて詳しくは https://www.conservation.org/japan/projects/indonesia-green-wall-project